何度やっても前説は緊張するのだけど、この日はこんな感じで言ってみた。
「みなさん御存知の通り、このチームはまだ歴史が浅く、これといった実績もまだありません。だから、みなさんの応援で、選手と一緒に歴史を作っていきましょう」
シュートは先制点となったシーンを含めて前半が3本、後半に至ってはゼロ、相手はなんと12本。
相手チームの監督も「内容では完全に支配できている」とコメントするほど、差をつけての勝利ではなかった。
ただ、見ていてこれまでの様に「勝ち点が取れれば…」あるいは「このまま勝てたらいいな…」ではなく、「今日は勝ちが見たい！」という気持ちが、今年はじめて生まれた。
目の前でプレーする選手たちを見ていて、これは勝利でないと報われない、そう思って声を枯らして応援を続けた。
理屈も何もかもふっとばした感情がほとばしるのが、自分でもおかしかった。
選手としてプレーも出来ないし、特にチームに金を落としてるほどの身ではないけれど、こういう瞬間瞬間の積み重ねが、振り返ると歴史の一片になっていたらうれしい。
この日の勝利で、チームは4位に上がった。
まだ13試合もあるし、強豪ぞろいのリーグ（なんだか、どこと当たっても肉食獣のようなイメージしか受けない…）で最後まで安泰とはいかないだろうけど、そんな中で伍していくのは幸せなことで、こんなシーズンを笑いながら振り返る日が来るとそれもまたうれしい。
試合後のGKジェンさん。
たぶん来日して一番の「ドヤ顔」。
このクリーンシートには、それくらいの価値がある。
ところでこの日は、厚木基地から展示飛行で飛んできたスーパーホーネットがスタジアム上空を通過
した直後の前半20分、川島選手がカウンターからの一撃を決めた。
（前列左から2人目）彼女のスパイクは、黄色の黒の”スズメバチ”カラーで、なにか因縁めいたものを感じた…って、俺だけだろうけど。
