夢にまで見た、夢のような1部リーグデビュー戦が終わった。
これから1部リーグを日常にするための戦いが始まる。
「よく覚えとけ。現実は正解なんだ。時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。現実は事実だ。そして現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ。その行動を起こせない奴を俺の基準で馬鹿と云う」
――立川談春「赤めだか」より、立川談志の言
興味深いことに、これと同じ様なことをコメントしたサッカー選手がいる。
「予想に反し低迷するチームからはこんな言葉をよく聞く。『こんな順位にいるべきチームじゃない。僕らはこんな実力じゃない』。違う、それが実力なんだ」
三浦カズである。
そして今日、3-0でINAC神戸に敗れたノジマステラに取っても、この結果は正解であり、実力であった。
帰宅してyoutubeでの配信動画
も一通り見てみたが、イレギュラーバウンドやジャッジに泣かされたりといったアンラッキーな失点は見当たらず（味方同士が交錯するシーンはあったが…）、現地で感じた「100%ではないものの目論んだことをやれてはいるが、相手がそれ以上にやっている」のは妥当な印象だった。
そこで先程の談志師匠の言葉である。
「現状を理解、分析してみろ。そこにはきっと、何故そうなったかという原因があるんだ。現状を認識して把握したら処理すりゃいいんだ」
3-0という結果は現実だが、1部リーグの強豪チーム（なにしろ監督が開幕前に全戦全勝を宣言しているのである）を相手に前半を凌ぎきり、失点にも気持ちを切らさずに最後までチーム全体が走るサッカーをしていたのもまた、現実である。
カズの言葉は、こう続いている。
「結局、駄目になっていくときはどこかが生ぬるくなっていくんだろう。五輪を経験した選手がいる、名前の知られた選手もいる、サポーターも多い、たとえ負けても『君たちはもっとできる』と甘やかされる」
「試合で1点入れられてから、組織が危機に陥ってから、目を覚ますのでは遅いんだ。サッカーは怖いもので、勘違いしていちゃ危ないんだよ」
不幸中の幸いというか、勘違いできるような結果ではなかったし、試合後の選手たちの覚悟は、スタンドにも伝わっていた。
今度はそれを、現実を変える力にしていく番である。
