大富豪同人物語：Web連載版　２ｎｄシーズン

○日曜昼、ねじ子のマンション地下駐車場。豪太郎の運転する車が到着。ねじ子＆ねじ子の両親が同乗している。
豪太郎「はい、着きましたよ」
ねじ子パパ「おお、すまんね豪太郎君。やっぱり新横浜から車だと早いね」
ねじ子ママ「やれ、いかいマンションだえれ。ローン何年だっただかね」
ねじ子「キャッシュで一括よ！それもビル丸ごと！」
ねじ子パパ「豪太郎君…本当の父親だと思って正直に言ってごらん、どんな悪いことをしたんだい？」
ねじ子「お父さんも！…ごめんね、豪さん」
豪太郎「ははは、構わないよ」
ねじ子ママ「ほら、お金持ちは笑顔からして違うだよ。ねじ子も見習わないと」
ねじ子「（ふくれっ面）」

○ねじ子のマンション、リビング。おみやげを出すねじ子の両親。
豪太郎「ああ、すみません。ありがとうございます」
ねじ子「また黒はんぺんだー」
豪太郎「こらこら」
ねじ子「だって」
ねじ子パパ「なんだね、豪太郎君、嫌いだったかね」
豪太郎「いえいえ、生姜醤油でおいしくいただいてますよ」
ねじ子パパ「ほー、それはよかった。今日は地酒も持ってきたから」
　ねじ子ママ、リビングにやってくる。
ねじ子ママ「準備できたわよ」
ねじ子「うん、お母さん。豪さんごめんね、買い物行ってきます」
豪太郎「ああ、行ってらっしゃい」
ねじ子パパ「気をつけてな」

○駅のホーム、電車待ちのねじ子＆ねじ子ママ
ねじ子ママ「部屋も片づいていたようだし、案外ちゃんとしてるんだねえ」
ねじ子「あったり前じゃん！…（部屋が広いから助かった〜）」

○回想シーン。昨晩。散らかったリビングを前に仁王立ちのねじ子。携帯電話を開いて閉じ、エプロンのポケットに入れる。
ねじ子「スタートアップ！…レディ…」
　ものすごい勢いで段ボール箱に詰める。
ねじ子「３、２、１、タイムアウト！」
　やはりものすごい勢いで散らかった物を段ボール箱に入れ、物置部屋にたたき込む。
ねじ子「仮面ライダーねじ子、いなふらっしゅ！」

○豪太郎のシアタールーム
　ちょっとした会議室ほどの大きさ。高価なＡＶ機器が置かれ、棚にはＣＤやレコード、ＤＶＤが並ぶ。壁にはプロジェクター用のスクリーン。
ねじ子パパ「おー、いいもん揃えとるねえ。」
豪太郎「いやあ、まだまだですよ」
ねじ子パパ「どうだね、ねじ子とは。うまく行っとるかい？」
豪太郎「はい、おかげさまで」
ねじ子パパ「父親の私から言うのもなんだが、あれはあれで一生懸命やってるんだ。これからもよろしくな」
豪太郎「はい」
ねじ子パパ「……ところで……頼んでいた件だが」
豪太郎「はい、買っておきましたよ」
ねじ子パパ「（上機嫌で）いや〜、悪いね。こっちはなにしろ田舎なもんでね。通販は妻にわかると何だし、ちょくちょく東京に行けるわけでもないんでねえ」

○デパート。買い物袋を両手に下げたねじ子。その前を行くねじ子ママ。
ねじ子「今度はどこ行くの」
ねじ子ママ「ここよ」
　ランジェリーショップに入っていくねじ子ママ。
ねじ子「自分用？にしては、ちょっと派手なコーナーに…」
ねじ子ママ「あんた用よ」
ねじ子「どうして」
ねじ子ママ「お母さん心配で心配で。豪さんとうまく行ってないんじゃないかって」
ねじ子「そんな、大丈夫よ」
ねじ子ママ「本当？お前のことだから夜もマンガばっかり見ていて、豪さんにつきあってあげてないんじゃないかと」
ねじ子「余計な心配しないでよ……」

○回想シーン、昨夜のリビング。
豪太郎「ねじ子さん、僕もう寝るけど」
ねじ子「あ、おやすみなさーい。私ビデオ見るから、もうちょっと起きてる」
豪太郎「そう。おやすみ」
　寝室に消える豪太郎。ねじ子、冷蔵庫からダイエットコークを出し、ポテチをつまみながらビデオを見続ける。
ねじ子「わははは、はははは」

○ふたたびシアタールーム
ねじ子パパ「（袋からＤＶＤを取り出し、ジャケットを眺める）おお、これこれ。ちょっと、見てもいいかね」
豪太郎「はぁ、構いませんが」
　豪太郎、ＤＶＤをプレイヤーにセットする。食い入るように眺めるねじ子パパ。
ねじ子パパ「いいねえ…いいものはやはり、いい！そう思わんかね、豪太郎君」
豪太郎「そうですね」
ねじ子パパ「（画面を眺めながら）うーん、これだよこれ、国産品ではなかなかお目にかかれないこの曲線！たまらんねえ！」
豪太郎「……（気持ちはわからないでもないけど、そこまで金髪が好きなら、なんで日本人と結婚したんだろう？）」

○夕方、新横浜駅改札
ねじ子パパ「それじゃ、今日はありがとう」
豪太郎「こちらこそありがとうございました。お父さん達も、お気をつけて」
ねじ子ママ「ちゃんと使うのよ、アレ」
ねじ子「わかったってば！」
豪太郎「？」

○夜、ねじ子のマンション、リビング。電話が掛かってくる。
ねじ子「はい、秋月です…あ、お母さん。もう着いたの？お疲れさま」
　豪太郎、バスルームから出てくる。
豪太郎「ねじ子さん、お風呂先に…あ、電話？」
ねじ子「（受話器をふさいで）うちの家から」
豪太郎「よろしく言っておいてね」
ねじ子「うん」
　しばらくしゃべり続けるねじ子。豪太郎、それを眺めながら
豪太郎「（小声で）やおいマンガを見ながら電話するのはいいけどさ……もう見慣れたから」
ねじ子「うーん、そうそう。安心したでしょ？」
豪太郎「シェイクを飲みながらだなんて、よく平気だなあ。アレと似たような物なのに……あぁ、口から垂れてる垂れてる」
ねじ子「じゅるっ。ああごめん、飲み物吹いちゃった。え？大丈夫大丈夫、豪さんはそんな事で私を嫌いになったりしないの。本当よ、言ったでしょ、豪さんはスーパーダーリンなの！ふふふふ！」
豪太郎「？」

２００３年１１月２日、２００字×１６枚