大富豪同人物語：Web連載版　２ｎｄシーズン

――金曜夕方。アキヅキ本社社長室。夕日を眺めつつ、ジャケットを羽織る豪太郎。
豪太郎「いやー、飛び込みの商談、早く片づいてよかったね」
イリア「そうですね、社長」
豪太郎「でもちょっと驚いたなあ、真顔で『画期的な若者向けビジネスです』って紹介するからなにかと思ったら……『消し忘れ機能付きプリクラ』だってさ。確かに最近のって、カーテンの中で派手なことをする方も多いらしいけど……うちより海老沢さんトコ持ってった方がいいんじゃないかなあ？」
イリア「ジオテックでも引き取るかどうかわかりませんけど……私もあれには内心あきれました」
豪太郎「いいよ、無理もないさ。さてと、悪いけど今日は上がらせてもらうよ。君もジムの日だったろ？」
イリア「はい。お疲れさまです」

――帰宅する豪太郎。
豪太郎「ただいまー。いつものケーキ、買ってきたよ（返事がない）ねじ子さん？ねじ子さーん？……うわっ」
――キッチンに入り、そこにいるねじ子を見て驚く豪太郎。
ねじ子「おっ帰りなさいませ〜、ご主人様」
――せいいっぱい艶っぽく”しな”を作るねじ子。エプロンドレス姿だが、スカートの丈が異様に短く、ガーターが丸見え。困惑する豪太郎。
ねじ子「お夕食でしたわね。お着替え、手伝いますわ」
豪太郎「あ、ありがとう」
――コート、ジャケットを脱がせるねじ子。続いてネクタイをほどこうとするが、うまくいかない。
ねじ子「あら、ちょっと、なんだか、具合が。えーと、こうだったかしら。よいしょっ」
豪太郎「いたたた……締めてる、ねじ子さん締めてるよ」
ねじ子「あ、ごめんな……申し訳ありません、それではこちらを（ズボンのベルトに手を掛ける）」
豪太郎「（あわてて）そっちはいいよ！自分でやるから」
ねじ子「（両手を胸の前で組んで）申し訳ございません、ご主人様。ちらり（一回転して、パンツを見せつける）」
豪太郎「……どうしたの？お昼になにか、おかしなものでも食べた？」
ねじ子「いえ、そんなご心配なさらずに。いま、お食事にいたしますね……（振り向いて小走りにレンジへと向かうが、つまづく）アギャーッ！（顔面から床に。スカートがめくれ上がり、下半身が丸見え）」
豪太郎「（やれやれという表情で抱き起こす）本当にどうしたの？」
ねじ子「……（泣いている）」
豪太郎「ひょっとして、お正月にメイドのコスプレをしくれたけど」
ねじ子「（うなずく）」
豪太郎「その時……その、あまり僕が興奮しなかったから？」
ねじ子「（うなずく）」
豪太郎「ああ、あの時は悪かったよ。でもさ」
ねじ子「そうよね。豪太郎さん、本物のメイドさん達に囲まれて暮らしていたから、私みたいなニセモノがやっても、ダメなのよね」

――ねじ子、ポケットから指人形を取り出す。右手と左手、それぞれメイド姿と半ズボンの少年。以下、座ったまま一人二役で人形劇が始まる。
メイド「坊ちゃま、お帰りなさいませ」
半ズボン「ああ、ただいま」
メイド「お着替えをお持ちしました、お召し替えを」
半ズボン「いやだなあ、僕はもう１５歳だよ。君の前で着替えなんか出来ないよ」
メイド「あら、ちょっと前までは私がお風呂に入れて差し上げたのに」
半ズボン「このー、言ったなあ（メイド人形に覆いかぶさる）」
メイド「いやですわ坊っちゃま、おふざけが過ぎます（身をよじる）」
半ズボン「このこのこのーっ」
メイド「そ、そんなところを触ってはだめですぅ〜」
半ズボン「ふふふ、口では偉そうなことを言っていてもこの女、やはり体は正直だな（後ろからメイドの乳を揉む）」
メイド「ああーん、お父様譲りのすごいテクー！」

――演じながら、だんだんたまらないといった表情になっていくねじ子。呆然と見つめる豪太郎。
豪太郎「なんなの、それ」
ねじ子「（真顔に戻る）この後いろいろあって、プライベートレッスンが始まるのよ」
豪太郎「誰の」
ねじ子「豪さんの」
豪太郎「そんな事しなかったよ」
ねじ子「いや、私の調べたところによると、たいがいのメイドさんは坊っちゃまと、こんな風に夜のお世話をしていると思われ」
豪太郎「（小声で）どこで調べたんだろう。少なくとも僕は違ったなあ」
ねじ子「じゃあ、こんな感じかな」

――料理用のバットに水を張り、隣にドール用のチェアとパラソルを並べるねじ子。半ズボン人形、サングラスを着用。チェアに寝そべりながら携帯電話を掛けている。
半ズボン「ロンドン市場、予想通りの展開だな。手筈どおりに頼む。それより明後日の会談だが、まだ先方が条件を飲まないようならキャンセルと伝えろ……伝えるんだ。いいな？」
――横柄にしゃべり続ける半ズボン。
メイド「あんっあんっあぁんっ」
――その上に跨るように座り、上下に揺れているメイド。

豪太郎「（いらだつように）あえて聞いてみるけど、それはプールサイドのつもり？」
ねじ子「（うなずく）」
豪太郎「で、今のは何？」
ねじ子「メイドと御主人様っていうと、どうしてもこういうイメージがぬぐえなくて」
豪太郎「（あきれながら）単に身の回りの世話をしてもらっただけだよ。家でも留学先でも」
ねじ子「身の回り」
豪太郎「食事とか掃除とかだよ」
ねじ子「ふうん。じゃあこの間、燃えてくれなかったのは」
豪太郎「メイドさんて、おばさんたちばっかりなんだよ。それを思い出したら、なんだか萎えちゃって」
ねじ子「ある日同い年の女の子がやってきて、（声を高めに）『今日から豪太郎様のお世話をすることになりました』ってのは？」
豪太郎「何時代の話だい」
ねじ子「なんだー、つまんないのー」
豪太郎「割と期待する人がいるけど、実際はそういうものなんだよ」
ねじ子「（心の声）でも、どこかあやしい……そうだわ」
――ねじ子立ち上がる。
ねじ子「そうね、こんなに丈を詰めちゃったけど、正統派メイドさんの服が一番よね。ちょっと待ってて、着替えてくるから」
――自室に入るねじ子。しばらくして、ロングスカートのメイド服で戻ってくる。
豪太郎「ああ、やっぱりメイドさんはこうじゃないとね」
ねじ子さん「それでは坊っちゃま、すみませんがお座りになっていただけませんか？」
――床に体育座りをする豪太郎。
豪太郎「こうかい？」
ねじ子「よろしゅうございますわ……えいっ！」
――ねじ子、豪太郎をまたぐように足を広げる。豪太郎、すっぽりとスカートの中に入ってしまう。
豪太郎「うわあっ」
ねじ子「（勝ち誇った顔で）どう、豪さん。こんな風にかくれんぼしたこと、あるんじゃない？」
豪太郎「……（返事がない）」
ねじ子「まだシラを切る気ね、それならこれよ！」
――自分の両腰を手のひらで叩くねじ子。スイッチが入って、スカートの中に灯りがともる。
豪太郎「あああっ！（中の様子に見とれる）」
ねじ子「ふふふ、これでもまだ、メイドさんと何もなかったって言い張るつもり？」
豪太郎「ひ、卑怯だよねじ子さん」
ねじ子「夫婦の間に、卑怯もラッキョウもあるかっつーの！さあ、全部吐いてラクにおなりなさい！（スカートの上から、豪太郎の頭をぐりぐりと押さえつける）」
豪太郎「（くぐもった声で）し、しました……」
ねじ子「いくつの時？」
豪太郎「じゅ、１３」
ねじ子「ムキーッ！やっぱりそうか！しかも私の予想より２年も早い！おませな奴！」
豪太郎「向こうはそれぐらいが普通だったんだよ」
ねじ子「みんながそうならいいのか！同じならいいのか！先生が死ねと言ったらお前も死ぬんだな！（豪太郎の首を太股で締め上げ始める）」
豪太郎「く、くるしいよ、ねじ子さん」
ねじ子「ゆ・る・さーん！相手は何歳なの！」
豪太郎「に、にじゅうご……」
ねじ子「じゅうぶん若いやんけーっ！」
豪太郎「１３から見たらおばさんだよ。それに未亡人で子供もいたし」
ねじ子「いちいち細かいこと覚えてんじゃねー！」
豪太郎「い、言ってることがむちゃくちゃだよ」
ねじ子「（豪太郎に馬乗りになり、体をゆすりながら）すっげー頭来た！夕飯変更！うなぎのニンニクまぶし焼きに、山芋とろろ掛けごはんだ！そして食後には亜鉛のサプリメント！全部たいらげて、私にもその未亡人と同じプレイをするのよ！」
豪太郎「とほほ……」

――数時間後、寝室。ベッドに腰を掛け、パジャマを着ている豪太郎。隣でつっぷしている、ねじ子。全裸。目は半開き、肩で息をしている。
ねじ子「け、けっこうなお手前でした……」
豪太郎「お粗末様でした」
ねじ子「あ、あれも向こうでは普通だったの？」
豪太郎「普通」
ねじ子「うそだーっ！」

（０３／０１／２８加筆修正、２００字詰め２４枚と４行）
（０３／０１／２６書き下ろし、２００字詰め２０枚）