大富豪同人物語：Web連載版

――日曜朝。東京、中野。自宅のマンションでベッドに横たわるイリア。
イリア「けほっけほっ……ごめんなさい、せっかく来ていただいたのに。けほけほっ」
アンリ「いいんですよ。これまでお疲れが出たのではありませんか？今日はゆっくり休むことにしましょう。僕も時差調整のために、ひと眠りします」
イリア「すみません。リビングのゲームやビデオ、お好きに使ってくださいね……」
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――朝日のあたる坂道。一人パンをくわえながら走る、セーラー服姿の……
イリア「いっけなーい、今日で終業式なのに遅刻だなんてーっ！」
――どっしーん！
イリア「いたたたた……ちょっと、大丈夫？」
男の子「え、ええ」
イリア「ごめんね、急いでるから！もうー、最悪のクリスマスーっ！」
――チャイムが鳴る中、教室に飛び込むイリア。
先生「どーしたイリア、クラス委員のお前らしくないぞー？」
イリア「す、すみません秋月先生」
先生「まあ今日のところは大目に見てやるか。ところでみんな、終業式の前にちょっとしたニュースがあるぞ。（ネイティブな発音で）キャモーンボォーイ！」
生徒達「……きゃーっ！男の子よーっ！」
先生「えー創設以来、我が聖ロザリオ学園は長らく女子校だったが、これから男子生徒も受け入れることに」
イリア「あーっ！さっきの男の子ーっ！」
アンリ「アンリと言います、よろしくお願いします」
先生「おいおい、二人とももう知り合いだったのかい？先生の出る幕がなくなっちゃうなあ（高らかに笑う）」
ぷぢ子「ちょっとちょっと。おヌシとあの男子、いかなる関係？」
イリア「私の方が聞きたいくらいよ。どうなってるのかしら？」
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アンリ「大丈夫ですか？だいぶうなされてたみたいですけど」
イリア「え、ええ……だいぶ、熱が……のどが渇いちゃって」
アンリ「お水持ってきましょうか？」
イリア「すみません、冷蔵庫にエビアンが。お願いします……」
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――深夜。国道沿いのスーパー駐車場で対峙する、皮ジャン姿の……
海老沢「昨日はよくも、あたいのかわいい子分達を病院送りにしてくれたわねえ！」
イリア「ほざきな！あんたの兵隊はもうこれだけかい？」
海老沢「ふっ、今夜のあたいは今までとは少し違うよ！連れておいで！」
イリア「……アンリ！」
海老沢「そうさ、このかわいい坊やがキズモノになりたくなかったら、おとなしく言うことを聞くんだねえ！」
イリア「くっ……」
海老沢「フハハハハ！これでこのシマは、あたいらパチョレック高校の天下ってわけさ！」
？「それはどうかな」
イリア「あ、秋月先生！」
海老沢「おやおや、カミソリのイリアも先公の助けを呼ぶなんざあ、ヤキが回ったねえ？」
イリア「なんで、先生が……」
豪太郎「これだから人間界の女は不躾で困るな。失せろッ！」
海老沢「ぎゃあああっ！（炎上）」
イリア「せ、先生？」
豪太郎「そろそろ、シラを切るのも終わりにしないか？いくら人間族とのハーフとは言え、魔界のしきたりなら今夜こそオレと」
ねじ子「だめよご主人様、こんな牛みたいなおっぱいの女とセックスなんかしたら、ご主人様の血が汚れちゃうわ！」
イリア「あんた誰？」
ねじ子「ひっどーい！魔界でも一、二を争うアイドル、サッキュバスのねじ子をバカにしたわねーっ！」
豪太郎「バカはお前だ」
ねじ子「へ？」
豪太郎「お仕置きだ。お前とは当分やらない」
ねじ子「そんなご主人様、おあずけはいやいやいやーっ！」
豪太郎「バカは放っておいて、ゆっくりと貴様の処女をいただくとするかな……」
アンリ「いけませんイリアさん、そいつの言いなりになっちゃ！」
豪太郎「天使長直々のお越しとは恐れ入るな。だがもう遅い！」
アンリ「取り戻すんです、ほんとう自分を！」
イリア「うわああああーっ！」
海老沢「その額の紋章！しまった！」
豪太郎「行くぞイリア、ねじ子さん、合体だ！」
イリア＆ねじ子「オウッ！」
豪太郎「トリニティ・フォーメーション・スパークッ！完成！グレート大富豪ロボ！」
海老沢「おのれーっ！（巨大化）」
豪太郎「ビリオネア・ソード！大富豪一文字斬りッ！」
イリア＆ねじ子「大富豪一文字斬りーッ！」
海老沢「ぎゃあああっ！（爆発）」
豪太郎「見たか、我らの力を！」
ねじ子「思い出したのねイリアさん……本当の記憶を」
イリア「……本当の私……そう、本当の私の名は、イリア・ティマイオス・クリティアス。失われたアトランティス超文明、コスプレ族の王女……」
ぷぢ子「そしてアトランティスの同人界を滅ぼしたのもあなた達よ！」
イリア「ぷぢ子？」
ぷぢ子「クラスメイトになりすまして監視を続けていたけど、それも今日でおしまいだわ。忘れたとは言わせないわ、５万年前の惨劇を！」
イリア「私が悪いんじゃないわ、壁際族が同人界の平和を乱すからよ！」
ぷぢ子「何を言っても歴史は変わらないわ。コスプレ族の犠牲になった、我々の歴史は！」
イリア「ウソよ、そんなのウソだわーッ！」
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アンリ「大丈夫ですか？叫び声まで出して」
イリア「ふう、なんか、変な夢ばっかり見ちゃって」
アンリ「御夕食、どうします？」
イリア「だいぶ熱も引いたし、景気づけに焼き肉を食べましょう！」
アンリ「コリアン・バーベキューですね？一度行ってみたかったんですよ」
イリア「じゃ、さっそく……あれ？」
アンリ「ああ、汗をかかれていた様なので、悪いけど着替えを」
イリア「あ、すみません。いろいろと……（ぱんつまで替えてある。シレっとした顔でこの子ったら……）」
――一方その頃、羽田空港傍のジオテック社第３開発室では。
海老沢「『メリークリスマス！ホニョ美のためにみんな集まってくれて、とってもうれしいで〜す！（はぁと）』……ふう。あのさあ、主催した身で悪いけど、クリスマスにギャルゲーのヒロインとチャットで会話して、お前ら本当におもしろいのか？心から楽しんでいるのか？モノホンがやってるわけねえだろう。こうやって３５歳のおばさんが何を触ったかわからない様な指でキーボードを……言うだけむなしいや。あーあ、自宅でやれるようにサーバー担当に言っておくんだったなあ。あいつら今ごろ何やってんだろう。こんなおばさん一人に仕事押しつけて……（電話鳴る）はい、第３開発室。え？お届け物？」
――お台場、大観覧車。
ぷぢ子「すごーい！ぷぢ子、こんな夜景見るの初めて！」
年下彼（声・桜井孝宏）「そう？喜んでくれて、僕もうれしいな。この辺はよく来るの？」
ぷぢ子「ううん。ぷぢ子、あんまり詳しくないの」
年下彼「じゃあこれからヒミツの場所に連れてってあげるよ」
ぷぢ子「ほんとう？どこ？どこ？」
年下彼「ビッグサイトだよ。意外に人もいないし、寒いけどライトアップされてて、とってもきれいだよ」
ぷぢ子「（猛烈に泣き顔）」
年下彼「どうしたの？気分でも悪いの？」
――新宿。ファミレス「ハーベストムーン新宿御苑店」
クリス「忙しいから諦めていたのに、クリスマスにお食事だなんて、ありがとう！」
勝平「はい、プレゼント」
クリス「なあに？」
勝平「ふふふ、開けてごらん」
クリス「……なに、このブルマ」
勝平「いやあ冬コミの新作ソフト、結局間に合わなかったんだ。しょうがないからコスプレＣＤ−ＲＯＭでお茶を濁そうかなって。ホテルも取ってあるんだ。急ぎで悪いけど、このあと撮影」
クリス「勝平さんの、大バカ野郎ーッ！」
勝平「うぎゃああーっ（顔面にケーキ）」
――ふたたびジオテック社第３会議室。
海老沢「なんだあいつら、ケーキの差し入れだなんて水くさいなあ。わかってたんだよ、根は悪い奴らじゃないって。口が下手なだけでさ……メッセージカードだ。『クリスマスおめでとうございます。お仕事がんばって下さい』……いい奴らじゃないか！『追伸。僕たちを励まそうとする気持ちはたいへん結構なのですが、オバさんのアンミラ服はキツい以外の何者でもないので、来年はご遠慮下さい。特に勝平チーフが気持ち悪がっています』……アレは好きでやってたんじゃねえよ！ああそっちがその気なら、来年からお前らアンミラが制服だ！いいな！ぱんつ覗くからな！盗撮するかなら！……あーあ、もうマジ帰りてえ。このレオンってやつ、本当にデトロイトからアクセスしてんのか？やたら日本のオタクネタ詳しくて、イヤになっちゃうんだけど……『すごいですレオンさん、ものしりですね！ホニョ美かんしんしちゃいます〜萌え萌えですぅ〜（はぁと）』……」
――そして有明。豪太郎のマンション。
ねじ子「うわー、やっぱり大画面ってすごーい！普通のニュース番組も新鮮に見えちゃうわね」
豪太郎「よかったら、好きなビデオも見ていいんだよ」
ねじ子「そう？一度大画面と重低音で見てみたかったんだ〜サイバーフォーミュラ！あすかがかわいいのは当然だけど、ハイネルの声がズギューンって腰に来ちゃうのよね〜」
豪太郎「大丈夫？シャンパン飲み過ぎてない？」
ねじ子「あー、そんな感じ。ムフーッ！（鼻息）これに比べるとブーツホルツとかシューマッハーっていうのは、悪いけどあたし的に１ランク落ち（携帯電話鳴る）あ、ごめんなさい豪太郎さん。はい、もしもし？」
孕「♪メリークリスマスゥ〜いま僕の話してなかったかい〜」
ねじ子「し、してませんよ！」
孕「♪豪太郎くんにもよろしくね〜」
ねじ子「はいはい（ガチャ切り）。……ふう、気分転換に電童見ようっと。ベガさんかっこいいよね〜（満面の笑み）。少女時代もかわいいし、なんたって歌がうまい！でもおかしいのはこのハゲたオッサン（また携帯鳴る）」
孕「♪いま僕の話してなかったかい〜」
ねじ子「言ってません！……次、アンジェリーク！真のヒロインであるロザリアを巡ってジュリアス様が」
孕「♪また僕の話してなかったかい〜」
ねじ子「してねえつってんだろッ！（携帯を壁に投げつける）」
豪太郎「ねじ子さん、落ち着いて。『劇場版・幻想魔伝最遊記』でも見るかい？」
ねじ子「え〜っ？オリキャラの道雁、設定から演技からなんかやりすぎって感じで引いちゃいましたよ〜」
豪太郎「（本気で泣いている）」
ねじ子「どうしたの？」
豪太郎「そっとしておいて……」