大富豪同人物語：Web連載版

――日曜夕方。居酒屋「和田民（わだみん）」にて。
ねじ子「お姉さん、生中もう一杯ねー！いやー虎も開幕レギュラー、よかったなあ！」
ぷぢ子「（いやに暗い表情で）今日は、そういう話じゃないんだ」
ねじ子「え？」
ぷぢ子「率直に言うとねじ子、あんたにサッカー日本代表は応援してほしくないんだ」
ねじ子「いきなり何言い出すのよ、いったい私が何をしたっていうのよ」
ぷぢ子「マズいんだ、このままだと」
ねじ子「何が」
ぷぢ子「あんたはっきり言って、乳小さいだろ」
ねじ子「今さら蒸し返すなよ！乳と日本代表とどんな関係があるんだよーっ！」
ぷぢ子「それにあんまり、『セクシー』って感じでもないだろう」
ねじ子「た、確かにこの１年、出した新刊の数の方が、えっちの回数より上よ。でもそれはあなただってお互い様じゃない」
ぷぢ子「わかってないなあ。じゃあ順を追って説明してやるよ。5/16現在で、世界ランキング１位の国はどこだい？」
ねじ子「えーと、９４年のＷ杯からずっとブラジルがトップだったけど、先週フランスと入れ替わったのよね」
ぷぢ子「そう。ところでベラ噛みなディープキスの別名は？」
ねじ子「フレンチキス」
ぷぢ子「コンドームの別名は？」
ねじ子「フレンチゴム」
ぷぢ子「日本一いやらしい本を出してる文庫のブランド名は？」
ねじ子「フランス書院文庫」
ぷぢ子「ほら、な。フランスって聞くとセクシーと言うよりむしろ、『どスケベ』『淫ら』な感じがするだろう？」
ねじ子「きょ、極端な例じゃないかなあ」
ぷぢ子「じゃあ２位のブラジル。リオのカーニバル、全国から女が集まって尻まるだしの格好したり、バストトップにぼんぼり付けて振り回すのよ？歌手のマルシアだって、ブラジルから来た頃としまえんのプールにＴバックで行っちゃって周りが引きまくったんだから。旦那の大鶴義丹も言ってるわよ、『情熱的で身が持ちません』って。例のオドオドした目で」
ねじ子「う。確かに。４位のイタリアも情熱的な恋愛の国だし、他の欧州諸国も引けを取とらなそう」
ぷぢ子「北欧のノルウエー、スウェーデン、フィンランドも上位だ」
ねじ子「さすがフリーセックスの天国」
ぷぢ子「わかったかい？選手達は異国の戦いで極限まで己の身を削り合っていくのさ。そんな時に励ましになるのは故郷に残した恋人しかいない。あぁ、僕を大人にしてくれたフランソワ、この試合を君に捧げるよ、そして帰ったらまた愛しあおう、そんな思いがギリギリのところで勝利を呼び込む原動力になるわけよ」
ねじ子「なるほど」
ぷぢ子「振り返るに、日本の女だ。春夏秋冬、コンビニの前に座ってションベンくせえケツを冷やしてる女子高生は別として、浮世絵の時代からどっちかって言うと受け身のイメージしかないだろ？ジャパニーズガール、とても無口、子供みたいな顔と体、でも黙って言うことは聞いてくれる……ナメられてんだよ！海外はもちろん、国内の男共にも」
ねじ子「ここはひとつ、オレ達だって奔放な性じゃ負けてないってとこを、見せつけていかないとマズいわけだ」
ぷぢ子「そうとも。ちまい出会い系サイトで刺し……さしつさされつしてる場合じゃねえのさ。だからねじ子、あんたはサポーター失格。あるいは、来年のＷ杯までにブァリブァリセクシーなナオンになること。ブラからはみ出るくらい、パイオツカイデーの。膝上５０センチくらいのミニ履いて、チラパン続出の。上司が思わず、裁判で負けるくらいディープなセクハラを仕掛けてしまうくらいの」
ねじ子「さ、さしあたって乳増強でどうだ？今夜から毎晩、風呂入ったら両手合わせて『ふンむー！』ってストレッチやるよ。中学ん時は死ぬ気でやったんだけど、すぐには効果ないんで続けてなかったし」
ぷぢ子「継続は力さ！」
ねじ子「え？もしかするとあんたも」
ぷぢ子「ああ、やったさ。ぎゅーぎゅー手のひら合わせて、牛乳飲んで。あとはマッサージだな。知り合いの知り合いでさ、男できたらＢ→Ｅになった子いるし」
ねじ子「何ッ！それは本当かッ！」
ぷぢ子「ああ、だからやるのさ！」
ねじ子「やるともッ！ぎゅーっぎゅーっ……」
――一方その頃。行きつけのイタリアンレストランにて、豪太郎と勝平。
豪太郎「今日は誘ってくれてありがとう。初めてだったけど楽しかったよ、『眼鏡っ娘フェスティバル』」
勝平「いやあ、僕だって隣の『CLAMP CARNIVAL』のコスプレギャル、豪太郎さんの貸してくれたカメラのお陰でばっちり押さえられました。ありがとうございます」
豪太郎「眼鏡って意外にセクシーさを演出するんだねえ。気づかなかったよ」
勝平「ねじ子さんにも買ってあげたらどうですか？」
豪太郎「そうだな。彼女、原稿描くときは掛けてるし。ところで勝平君、君のＴシャツは男らしくていいねえ」
勝平「そうですか？うれしいなあ」
豪太郎「今度僕にも着せてくれないか？」
勝平「いいですよ」
――その二人を、斜め後ろのテーブルから変装して監視しているのは。
クリス「やっぱり、あの二人ヘン！前世ムー帝国で兄弟だったのかしら？いろんな意味の」