大富豪同人物語：Web連載版

――日曜午後、アニメショップ「マニアメイト」。レジ打ちをしているねじ子。
ねじ子「♪フフンフン〜白衣が普段着オシャレな僕さ〜……ハッ！いつの間にこんな歌を！まずい、どんどん洗脳されていくわ」
男（声・関智一）「すみませーん、ゲーム予約してたんですけど」
ねじ子「あ、はいはい、少々お待ち下さい。（おっと、エロゲーじゃん）。えーと、こちらですね。初回特典としてトレカ、テレカ、ポスター、フィギュア、マウスパッド、タペストリー、設定資料、以上を全キャラ１２種ずつに加えて、ファン感謝イベントのライブビデオと声優のサイン色紙、です」
男「どうも」
――そこへ飛んでくる、ダイナマイト電器のポイントカード。
ねじ子「誰っ！ていうかこんな事やる奴一人しかいないけど」
ぷぢ子「あえて今日は敵を名乗らせてもらおう！そいつにディスクを渡すな！」
ねじ子「いや、そこまで力入れなくても」
ぷぢ子「そんなティムポのなさそうな顔をしているが、そいつはとんでもない悪人だ！」
ねじ子「ティムポの有無と人の善悪は関係あるのか？」
男「フフフ、さすがは秋葉原の守護神。いかにもオレはエロゲー四天王が一人、転売のケン」
ねじ子「エロゲー四天王？」
ケン「そう、巧みに法の手を逃れ、暗黒の世界にその身を隠し、抜けないエロゲーを法に代わって裁く闇の処刑人達のことだ」
ねじ子「どっかで聞いたような話だな。あなた普段は花屋さんやってない？あと四人のうち一人は似合わない半ズボンのおっさんとか」
ぷぢ子「あんた、いま世界一勇敢な女だよ……」
ケン「まあいい、このグッズを元手にまたオレ様は大儲け。もちろんディスクのコピーもカンペキ。販売店やメーカーが幾つ潰れようと知ったことか！」
ぷぢ子「こいつらのお陰でうちの支店が五つも壊滅させられたんだ。今日は弔い合戦！息の根を止めてやる！」
ケン「来るか！徹夜行列で鍛えたこの体臭の恐ろしさを思い知らせてやる！」
ねじ子「うわー店がめちゃくちゃになる〜。せっかく今日は店長いないからのんびりしてたのに〜。はっ、そうだわ。店長の部屋に確かアレが……」
ケン「きえええーっ！」
ぷぢ子「でやああああっ！」
ねじ子「待って！」
ぷぢ子「？……なんだねチミは」
ねじ子「いや、あのですね。泣けるエロゲーのヒロインのですね、衣装があったんで着てみたんですけどね」
ぷぢ子「二五歳過ぎた女の学生服姿ってキっつ〜！」
ねじ子「言うなよ！これであの男が満足して帰るかもしれないじゃん！」
ぷぢ子「なるかよ！そんな一昔前のエロ本モデルみたいなツラで！」
ねじ子「言ったなぁ……おや？」
ケン「うぐぅ……」
ぷぢ子「なんか、苦しんでる様だね」
ケン「や、やめてくれ……あゆが可哀想だよ……」
ねじ子「あ、意外と効いてるかも。ぷぢ子もやってみれ」
ぷぢ子「おしっ……こんなんでどうだ？」
ねじ子「お、病弱パジャマ少女。いいねえ」
ケン「だからやめてってば……加奈が可哀想……（涙目）」
ねじ子「なんだ。利益目的で転売に徹してるかと思ったら、キャラに思い入れビシバシじゃん」
ぷぢ子「ていうか、むしろディープな思い入れを隠すためにクールを装っていたと思われ」
ケン「うっ」
ねじ子「四天王は全員がショートストーリーを自分のＨＰに毎日アップしているけど、仲間内ではクールを装ってる手前アツく語れず」
ケン「ぎゃっ」
ぷぢ子「しかし女の話し言葉なんてエロゲーやエロアニメの中でしか知らないから、キャラがみんな過剰な丁寧語でオカマちゃん大行進みたいな語尾になると思われ」
ケン「ぐっ」
ねじ子「大行列して買った同人がチョロっと商業アンソロ本に載るとマジで激怒するタイプ、でも口に出しては言えず」
ケン「ぶはっ」
ぷぢ子「場所もわきまえずピーコテクを自慢している奴らを見ると、絞め殺したくなると思われ」
ケン「うがっ」
ねじ子「フィギュアをいじってるからって二次コンじゃないとは言えず」
ケン「びえっ」
ぷぢ子「そろそろこいつは許してやりたいが、案外おもしろいからまだまだやめず」
ケン「ぐえっ」
ねじ子「なんであたしたちは実際の会話でも、こんな掲示板みたいな語尾をつけるか不思議に思われ」
ケン「ううっ」
ぷぢ子「ねじ子さあ、今日はそれ着て帰ったら？んで豪さんユーワクしてみたり。みのもんたも勧めてる夫婦和合法（事実）なんだけど」
ねじ子「まあ十中八九バカにされるだろうけど、万一火がついたようにサカられたらそれもイヤだと思われ」
ぷぢ子「もうその語尾やめれ」
ねじ子「不愉快とは否定できず」