大富豪同人物語：Web連載版

（前話からの続き）なんだかんだの末、１０００万円でオリジナルドラマＣＤを制作することになったねじぷぢコンビ。よくわかってる孕（はらみ）店長と、よくわかってない豪太郎と勝平ちゃんをスタジオに招いて、打ち合わせが始まった。

ねじ子「はい、じゃあ自己紹介も終わったところで、さっそく下読みをお願いします」

孕「ふっ。かわいい顔して、もうこんなになってるじゃないか」
勝平「だ、だめですよ、課長が来ますよ」
孕「大丈夫、この大会議室は君のために貸し切りにしてあるんだよ」
勝平「やだ、社長の銅像が見てる……」
孕「ふふふ……」

ねじ子「はい、いいでしょう。その調子でお願いしま」
ぷぢ子「待て待て待てッ！２１世紀にそんなダサダサシナリオを世に出そうって正気か貴様ッ？」
ねじ子「待てって、この後に及んで脚本（ホン）にダメ出し？」
ぷぢ子「当たり前だ！オレ様はスポンサーにしてプロデューサーだ！いわばブロッコリーの木谷とキングレコードの大月が合体したようなもんだぜ！トライゼノンクラスのヒット作なんかバンバン世に出しちゃうよ！」
ねじ子「何か微妙に支離滅裂な気も……そこまで言うんなら、シナリオを見せてもらいたいわね」
ぷぢ子「おう、オレ様のイカスドラマ聞いて感激のあまり座りションベンすんじゃねえぞ！」

勝平「いっけなーい、就職初日から遅刻だなんてみっともなーい！朝食のパンをくわえながらダーッシュ！」
どーん！
勝平「いたたたた……」
豪太郎「だ、大丈夫かい？」
勝平「大丈夫です……あ、完全に遅刻だー！急がなくちゃ！」
豪太郎「あ……」
　　　　　：
孕「よーしみんな集まってくれ、新入社員を紹介するぞ」
勝平「今日から営業部のみなさんと働くことになった勝平です。よろしくお願いします！」
豪太郎「あっ、君はーっ！」
勝平「あ、あなたは！」
孕「なんだ二人とも知り合いだったのか？ちょうどいい、席は豪太郎の隣だな」
　　　　　：
勝平「僕なんかに構わないで下さいよ」
豪太郎「どうしたんだよ」
勝平「見たんですよ、課長と部長がホテルに入っていくのを」
豪太郎「あはははは！ああ、あれか」
勝平「何がおかしいんですか」
豪太郎「実は今度、全国のブティックホテルにネットワークゲームを構築することになってね。あれはそのための下見だったんだよ」
勝平「ええーっ！じゃあ、それって僕のはやとちり、かんちがいだったんですかーっ！？」

ぷぢ子「ナイス！イカス！カンペキ！メディアミックスでホモゲーも出して、カラフルピュアガールで取り上げてもらおう！あの雑誌はボーイズゲーのコーナーもあるし、創刊号からコラム書いてる『みのうら』って人はやおいをわかってるから安心だ！」
ねじ子「どこがイカスドラマだゴルァッ！」
ぷぢ子「感激するだろう？思わず『感激のあまり長文失礼します』ってタイトルで公式掲示板に感想カキコしたくなっちゃうだろう？」
ねじ子「しねえよ！だいたいこんな脚本書くのに、なんで今朝の今朝まで掛かってんだよ」
ぷぢ子「バガヤロウッ！シナリオは遅れてナンボだ！声優の下読みなんか無視してアフレコ１時間前になって会社からＦＡＸしたっていいんだ！むしろそれを誇りに思ってＨＰのスタッフ日記に『いや〜たいへんでしたよ〜』って自慢げに書いて厨房を釣れ！もちろん文末には手前勝手な苦労を強めるヘタレ単語『ふう…』で決めろ！２ちゃんねるで叩かれたら『素人のみなさん、文句はカネを払ってから言って下さいね』と中途半端プロ根性オーラを全体からにじませて弁明だ！」
ねじ子「妙にリアルでイヤになる例えはやめろよ！」
ぷぢ子「やかましいっ！お前も業界のクサイ飯を半年も食えば、これくらいどうでも良くなるぜ！ウガガガガガーッ！」

クリス「すみません、バカが二人ではしゃいじゃって……業界ズレしてるくせに現場慣れしてない人っていやですよねえ。じゃあ、この最終稿で行きます。勝平さん、主人公のゲームデザイナー。お兄ちゃんはその上司で、横恋慕した部長の孕さんが二人とも開発室に監禁しちゃうんですけど、そこで愛が育まれていくっていう感じでお願いしまーす。キメセリフは『君の愛はデジタルになんかできない』です。ちょっとヘビーな内容ですけど、大丈夫ですか？」
勝平＆豪太郎＆孕「仕事ですから……