大富豪同人物語：Web連載版

――日曜早朝。ねじ子のアパートに向かうフェラーリの車中。
豪太郎「今朝の日本×フランス戦はさんざんだったなあ。アウェーのコンディションを差し引いても、あれはちょっといただけないよ。ねじ子さんショックだろうなあ、楽しみにして衛星チューナーも入れたのに……さて、着いたぞ。ねじ子さーん！……返事がないや。ちょっと悪いけど、もらった合い鍵で……うわあっ！」
――酒、たばこ、ジャンクフード、雑誌、マンガ、ありとあらゆる物が散らばり、乱雑きわまるねじ子の部屋。ベランダには、ぐしゃぐしゃになった衛星アンテナ。
ねじ子「帰ってよ」
豪太郎「いや、その、心配になって」
ねじ子「ううう。フランスチーム怒濤のエッフェル攻撃からジダン君の鋭いシュート、楢崎君取れません……」
豪太郎「なんだかよくわからないけど、ざ、残念だったね」
ねじ子「いいの、もう。終わったの」
豪太郎「本番は来年だろう？まだまだがんばれるさ」
ぷぢ子「（ごそごそとゴミの中から出てくる）いいんだよ、夢を見たオレたちが悪かったんだよ」
豪太郎「き、キミもいたのかい」
ねじ子「日本からの選手団を、スペインから来た西沢とイタリアから来た中田がパリで迎えたところで、もう東映まんがまつりをぶっちぎったと思ったけど」
ぷぢ子「やっぱり世界の壁は厚すぎる……」
豪太郎「まあ代表全員に海外チームの経験がある時代にならないと、互角の戦いは遠いかなあ」
ねじ子「いや、敗因はもっと別の所にあるはずだ」
ぷぢ子「チームメイト同士がこう、もっと因縁のライバルであるべきだよ」
ねじ子「そう。語るべきバックストーリーが乏しすぎる」
ぷぢ子「ないのかよ！ユース時代に合宿で殴り合いをしていたとか」
ねじ子「おやじが放浪画家で住所不定とか」
ねじ子「でかい屋敷に練習場や専属コーチまでついてるとか」
ぷぢ子「ないよなあ」
ねじ子＆ぷぢ子「うわあぁ〜現実なんてつまらないよ〜っ」
豪太郎「確かに今の日本代表はトルシエ監督を除いていじりずらいキャラしかいないけど、だったら外堀から攻めてみるというのはどうかな？」
ねじ子「ん？これはＪ２湘南ベルマーレのスタッフユニフォーム……うわおっ！」
ぷぢ子「でじこがでかでかと描いてあるにょ」
豪太郎「今シーズンからブロッコリーがスポンサーなんだよ。そして去年は１１チーム中８位だったこのチームが、今年は開幕以来３連勝で今日現在２位だ」
ねじ子「ひょっとして……」
ぷぢ子「日本サッカー界を救うのはオタパワー？」
豪太郎「チーム解散寸前に奇跡の天皇杯優勝を遂げたフリューゲルスもバンダイがスポンサーだったし、フランスＷ杯出場を決めた97年の日本×イラン戦も、コロコロコミックのスポンサードで巨大ドラえもんフラッグが応援してたし。あながち否定できないだろう」
ねじ子「ジェフはセガが降りてからさらに弱くなったし」
ぷぢ子「むう」
豪太郎「うちも代表やＪチームのスポンサード、考えようかなあ」
ねじ子＆ぷぢ子「ぜひっ！」