大富豪同人物語：Web連載版

――日曜朝１１時。ビッグサイト東４ホール。即売会「コミックビレッジ」会場。
豪太郎「えーここが「８１の間」だから「アーツの間」は隣の島、と。せっかくの即売会なのにねじ子さん、花粉症でダウンしちゃうとはなあ。頼まれた本買ったらお見舞いに行かないと。あ、すみません、新刊ぜんぶお願いします」
売り子「申し訳ありません、こちらの本は男性の方お断りになってます」
豪太郎「え？だめなの？」
売り子「なにぶん、内容が内容ですので……」
豪太郎「そんな本だったのかな……困ったなあ、じゃあ残りの４２冊でがまんしてもらおう。次のサークルは、と……」
――３０分後。
豪太郎「なぜだ！なぜ行く先行く先、男性お断りなんだ？おまけに周りからはヘンな目で見られるし……クリスでも連れて来るんだったよ。あ〜あ」
ぷぢ子「お困りの様ね？」
豪太郎「あ、ぷぢ子さん助かった。実は……」
ぷぢ子「ムリもありません。豪さんのやってることは例えてみると、週末をオナ三昧で過ごそうと下半身ニヤケまくりの♂オタいっぱいなエロゲー売場へ、のこのことメガネっ娘がミニスカにオーバーニーソックス姿で来るようなものです」
豪太郎「例えが複雑でわかりにくいけど、なんか悪いことしちゃったみたいだね」
ぷぢ子「買い物メモ見せてくれますか？……フツー、こんなジャンルの買い物、彼氏に頼みませんよ」
豪太郎「何のに気なしに渡してくれたから、気づかなかったよ」
ぷぢ子「それは我々がよく使う手です。よかったら、私が買ってきましょうか？」
豪太郎「ほんと？助かるなあ」
ぷぢ子「（ニヤリ＋めいっぱいロリ声で）えっとぉ、この際だからぁ、お願いしちゃうんですけどぉ」
豪太郎「ああ、自分の好きな本も買ってきていいですよ」
ぷぢ子「やりっ！同人の神はオレを見捨ててなかった！じゃ、行って来ま〜す」
豪太郎「ふーっ、よかったよかった……」
ぷぢ子「（小声で）しかし休日の一人歩きにもネクタイ絞めて……かかってるお金は段違いだけど、センスはねじ子と似たもの同士だなあ」
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ぷぢ子「お待たせしました〜っ！ちょっと買いすぎちゃったかな？（はぁと）」
豪太郎「いやその、何も３トントラックに満載して来なくたって。フットワークさんもたいへんだなあ」
ぷぢ子「はい、お頼みの品。ねじ子だけあってマニアックな品揃えだよ。見る？」
豪太郎「いや、それはちょっと……」
ぷぢ子「いいじゃん、後々のためだよ」
豪太郎「じゃあ、ちょっとだけ」
ねじ子「ま゛て゛〜っ！」
豪太郎「キャーッ！ねじ子さん！」
ねじ子「ぞでぼびだでづぼば、ばだぶぼびばべぶぼびばずがぢびっ！」
ぷぢ子「鼻かんで喋れよ……」
ねじ子「ちーん！……それはだめっ、豪さん！たとえ私のお股を広げるのと引き替えでも、その本は見せられないわっ」
豪太郎「いや、そこまで思い詰めるなら、いいけど」
ぷぢ子「見っせられないよねえ、こーんな（ぴらっ）本なんかさぁ」
豪太郎「うわっ」
ねじ子「やめろおぉーっ！」
ぷぢ子「フフフ、我が最愛のストライカーを汚し続けたお前の罪！地獄でつぐなってもらおうか！」
ねじ子「おのれ〜ッ！今日こそ決着をつけてやる！（マスクとコートを脱ぎ捨て、レザーパンツ姿に）」
ぷぢ子「望むところよッ！（同じくレザーレオタード姿に）」
ねじ子「とおッ！」
ぷぢ子「たあッ！」
――東館コンコースでリアルファイトを繰り広げる二人。群がるカメラ小僧。
豪太郎「（ねじ子向けの本を見ている）……ねじ子さん、こういうのが好きだったのか……これなんか僕のよりちょっと大……いや、かなり……むぅ……相手がマンガとは言え少々複雑な気持ち……あれ？これ逆だよ。下向きに反ってる……本物見たことないんだ……あと、これはムリじゃないかなあ。いくらマンガでも、そんな所には入らないと思う」