大富豪同人物語：Web連載版

ねじ子「さぁ今夜は待ちに待った『豊胸ラブストーリー』の最終回スペシャルだわ！邪魔が入んないように電話も携帯も回線をオフ！先週のラストでついに整形を決意したけど、リナはバンチと結ばれるのかしら……」
――９０分後。
ねじ子「ぬわああああーっ！なんじゃこの最終回わーっ！なんのためにリナが痛い思いして胸ふくらました思うとるんじゃーっ！なんであれほど巨乳好きをアピールしておったバンチが、あっさりペタ胸女とくっつくんじゃーっ！ぐおおおおおおおー、納得がいかーん！」
(S.E.電話の音)
ねじ子「むっ、回線を引っこ抜いても電話を掛けてくるこの執念の持ち主と言えば！」
ぷぢ子「納得がいかーん！」
ねじ子「おおっ我が強敵（とも）よーっ！」
ぷぢ子「あんなどっちつかずな話のために、わしら２クールもドキドキしとったんかーい！」
ねじ子「あんな小洒落たセリフはいらんからリナをしあわせにせんかーい！！」
ぷぢ子＆ねじ子「納得がいかーん！」
――どどーん！（ドアをぶち破る音）
ぷぢ子「同志よ！興奮のあまりこのアパートまで瞬間移動してしまったよ！」
ねじ子「作品への愛は時として物理法則も越えるのよ！さあ行きましょうお台場へ！」
ぷぢ子「いやテレビ局への抗議もいいが、スポンサーへの圧力も時として有効だ！そしてこの番組のメインスポンサーは」
ねじ子「豪太郎さんの会社！」
ぷぢ子「いくぜねじ子っ！」
ねじ子「オーケイぷぢ子っ！」
ねじ子＆ぷぢ子「ワーァプッ！」
――有明。豪太郎のオフィス前。
――どどーん！（ドアをぶち破る音）
クリス「納得いかないわーっ！」
ぷぢ子「おう、どうした？お前もか？」
クリス「あの番組のおかげで、つるぺたな女の子がどれだけ肩身を狭くしてたと思うのよーっ！それでまたこんなラストだったらますますいじめられちゃうわよーっ！」
ねじ子「同志よ！……あれ？なんでぷぢ子向こう向いてるの？」
ぷぢ子「だってオレ、つるぺたじゃないしなあ」
ねじ子「この際大同小異だ！豪太郎さん、なんとかしてよ！」
豪太郎「いや、だって、そう言われても放送終わっちゃったしなあ」
ねじ子「ハンッ！てめえも普段はいい子ちゃんぶってるくせに、本当は目の前で従順な巨乳ちゃんが言うこと聞いてりゃあそれでよかったんだな？このウスラ汚ねえオスブタがよォッ！」
豪太郎「ねじ子さん、キャラが変わってるよ……」
ねじ子「次の新刊はこれだ！リナとバンチのラブラブハッピーエンド！それが真の最終回だとオレは死ぬまで信じる！少なくとも100万冊はハケると見たね！」
豪太郎「……ほら、公式HPの掲示板でもみんな誉めてるじゃないか」
ぷぢ子「そんなもの管理人が削除しまくってるに決まってるじゃん！作られた歴史なんかオレはお断りだぜ！」
クリス「『リナの決意に涙が出ました』てめえずいぶん安っぽい涙流すじゃねえかゴルァッ！！『私もリナの様に生きていきたいです』てめえの家には鏡がねえのかよゴルァッ！！『バンチしあわせになってね』てめえのことなんか誰が知るかゴルァッ！！」
ねじ子「こんな馴れあいまみれで予定調和な掲示板は、荒らす！オレ様にとってこんなものどうだっていい！破壊！オレ様のHPにオレ様が思いのまま操れるオレ様のためだけの掲示板を作る！もちろん反対派が書き込んだら即抹殺！」
ぷぢ子「携帯メールも流す！『いまお台場プチテレビ前で”豊胸ラブストーリー２”のロケをやってます。集まった人たちの意見で展開が決まるそうです。ラストに納得行かなかった方はぜひ！』」
豪太郎「うわぁっ」
ぷぢ子「よっしゃあ、仕込みはカンペキ！プチテレビに行くぜ！」
ねじ子「クリスも掴まれ！ワーッ……」
イリア「待って！」
豪太郎「まさか君まで……」
イリア「実は私もぜんぜん納得が行かなかったの。スタッフが勘違いしてるのよ。作品を私物かなんかだと思ってるんじゃない？そんなの公開された時からファンのものであるべきだわ！連れていってちょうだい」
ねじ子「よしっみんな行くぜ！」
全員「ワーァプッ！」
ぷぢ子「でもさ、こうして４人で肩組むと合体ハカイダーみたいだよな！」
――１時間後。膝を抱えオフィスでテレビ中継をひとり眺める豪太郎。
豪太郎「うわー。もうプチテレビの社屋、ぜんぜん原型を留めてないよなあ。この部屋からも炎が見えるし。しかし何十万人集まったんだろう？さすが最高視聴率73％だよなあ。すごい人混み……あっ、ねじ子さんだ」

ねじ子「うおおおおお一人十殺じゃーっ！いてこませゴルァッ！！」
ぷぢ子「同人女をなめたらいかんぜよゴルァッ！！」
クリス「府中にあるのは競馬場だけじゃねえんだよゴルァッ！！」
イリア「吐いたツバは飲まん様にせんとなゴルァッ！！」
全員「納得できーん！」

豪太郎「……理解できない」

【解説】
惣領冬美のデビュー当時に
「あの人は名前から作風から何から何まで小椋冬美先生のマネです！納得行きません！」
と”ペンネーム＝いかれる女の子”名義で「ちゃお」に投書して、編集部がわざわざ１ページ誌面を割いてなだめたのはオレじゃないから勘弁して下さい。