大富豪同人物語：Web連載版

――日曜午後のマニアメイト。レジに立つのは……
ねじ子「はい、しめて１５万４千８百円になります。ありがとうございました！いや〜よくモノが売れるアニメショップだな〜。しかも店員になると全商品５割引きだし。不定期だけどバイト入れてよかったな〜」
店長「（声・速水将様）がんばってるかね？ねじ子くん」
ねじ子「（小声で）こいつさえいなければなぁ……」
店長「どうかしたかね？この孕（はらみ）丈の妙なホスト声とホストっぽい衣装になにか違和感でも？」
ねじ子「（ぶっきらぼうに）いえ、特にありません」
店長「そうか、その調子でがんばってくれ・た・ま・えぇ（はぁと）♪フフーンフーン僕の乳毛は天然パーマーぁドゥワッパ〜」
ねじ子「うぐう……さ、気分転換して仕事仕事！……あれ？」
悩んでる少年・武玲雄（＝ぶれお/声・伊藤健太郎）
「う〜ん。こっちかなあ」
ねじ子「ごめんね僕、夕餉（ゆうげ）王カードはあんまり袋に触らないで選んでくれる？」
武玲雄「わかったよ……でも、どうしてもブルーアイズホワイトイシカリナベのカードが欲しいんだ」
ねじ子「カムバックキングサーモンのカードを併せると食欲力倍増ってレアカードよね？みんな捜してるよ。でも１００パックに１枚だからなかなか見つからないのよね」
武玲雄「くそーっ、これじゃあ今度の大会に勝てないよ〜結局このゲームはカネのある奴が強いんだ〜！」
ねじ子「ん〜そこまで言われちゃうと、なんだか気の毒になっちゃうわ」
武玲雄「こんな理不尽な遊びを作った奴が憎い！作者を殺して僕も死ぬーっ！」
ねじ子「ちょ、ちょっと、その歳でそこまで思い詰めないで！」
武玲雄「うるさい！お姉さんなんかに僕の気持ちが」
――そこへ割って入る、見るからにオタっぽい男。
男（イヤにこもった声で）「あのー、頼んでいた者ですけど、夕餉王カード箱で５０個ください」
ねじ子「言ってるそばから……この男の子が先です。少々お待ちいただけませんか？」
男「わっかりました〜でも、早くしてね〜」
ねじ子「（すごくイライラして）僕、このお兄さんが１００枚くらい買ってくれるって」
男「あなた何言い出すんですか〜ちょっと理不尽じゃないですか〜」
ねじ子「うるせえっ！てめーもちったぁ人の心の痛みを知りな！」
男「さすがだね、ねじ子さん」
ねじ子「そ、その声は……豪」
男「しーっ。店長に見つかるとうるさいから、変装してきたよ。バイトが終わったら、その男の子を連れてきてくれないか。案内したいところがある」
――数時間後。月島の某倉庫。
豪太郎「ここにあるのが全部、夕餉王カードだ。ざっと見積もって１００万枚はあるかな」
武玲雄「すごい……」
ねじ子「でも豪太郎さん、大人気ないなあ」
豪太郎「違う違う、この前系列のドーム球場貸してイベントやった時に、主宰の仕切のせいで大混乱しちゃってさ」
武玲雄「あー、あれ。ヒドかったな〜」
豪太郎「迷惑料請求したら物納してきたんだよ」
ねじ子「意外にお金ないのかしらあの会社……」
武玲雄「おじさん、質問があるんだけど」
豪太郎「なんだい坊や？」
武玲雄「この在庫、リストか何かある？僕はどの箱からレアカードをもらったらいいの？」
豪太郎「あ……それは、作ってなかったな……」
ねじ子「どうすんのよ〜」
豪太郎「もうこうなったら印刷所を、いや版権そのものを買収して」
武玲雄「いいよ。僕、手持ちのカードでデッキ組む。負けてもそれが実力なんだからしょうがないよ」
――翌週。ふたたびマニアメイト。
ねじ子「あら、お久しぶり。デュエルどうだった？」
武玲雄「お姉さんたちのおかげで、準決勝まで行けたよ」
ねじ子「すごいじゃない〜！よし、お祝いに大目に見るからバンバン選んじゃって！」
武玲雄「いや、今日はカードじゃないんだ」
ねじ子「？」
武玲雄「ほら、あそこで立ち読みしてる女の子。クラスメイトなんだけど、今まで夕餉王カードなんて子供の遊びだなんて言ってたのに、急に話を聞きたいなんて言い出して、買い物につきあってくれって」
ねじ子「いやな予感が……」
女の子（声・渕崎ゆり子）「お待たせ〜！夕餉王アンソロジーっていっぱい出てるのね。とりあえず夕餉総受だけでもこんなにあったわ！武玲雄くん、あとでルールやカードの話、教えてね。今度の新刊これにするんだから。あと、お兄さんにガクラン借りて海原君のコスプレしない？」
武玲雄「ね、暗号みたいだろ？わけわかんないよ」
ねじ子「は、ははは……」