大富豪同人物語：Web連載版

(ハワイ行きJAL便エコノミーシートにて、例のバカ３人組＋ねじ子)
「やーっぱワイハはシーズンオフに行ってこそ通よね〜」
「まああたしら毎日が日曜だし！盆と正月に行くバカの顔が見たいわね〜」
「芸能人気取りなんじゃない!?ガーハハハ！」
「（ああ、新刊の印刷代……追い込み用にため込んだ有給……最近豪太郎さんも会議で忙しいし。ううう）」
（同時刻ミシガン州デトロイトの和風居酒屋「こんばん和田勉」座敷部屋にて、豪太郎と商談する現地の御曹司レオン・ゴールドバーグ[ＣＶ小杉十郎太]）
「ユーのビジネスポリシーはクレイジーッ！ミーはソウアンビリーバブー！」
「お前ちゃんと日本語の勉強したんだろう。代々木アニメーション学院ボルチモア校声優課で」
「私もよくよく運のない男だな。パーティーが終わっての帰り道で、貴様のような男に会うとは。フフ、お前の運が良かったのか？」
「……オレがOTAKUな分野に手を出し始めたのは、純粋に興味が湧いただけだ。そっちの商売の邪魔をする意図はない」
「にわかには信じられない言葉だにょ」
「（また輸入ショップで変なアニメ見まくったな）とにかくオレは忙しい。失礼する」
「待……おおぉっ！」
（きらめき高校の制服姿で、秘書のイリア入ってくる）
「差し支えなければ私がお話をお引き継ぎいたしますが。よろしいですね？」
「ムヒョーッ！金髪金髪ーっ！ねえキミ帰国子女帰国子女？片桐さんみたいに喋るの？ソーファーン！」
「（小声で）社長、今のうちに」
「ありがとう。臨時ボーナスを考えなきゃな」
（それから数時間後。日が落ちたビーチサイドのバー「シュワルツパンツァー」にて一人クダをまくねじ子）
「あ〜あ結局ショッピングにつきあわされて夕飯もおごらされて、向こうは勝手に酔いつぶれて……ほんと、哀しいった」
（突然店内のＢＧＭがハワイアンから『007のテーマ』に切り替わる。照明も瞬時に暗くなる）
「うわああっなによおっ！」
（思わず店外に飛び出すねじ子。空がいやに明るいので見上げる）
「えっ？えええっ！」
「おーまーたーせーっ！」
（サーチライトを浴びながら、スーツ姿の豪太郎がパラシュートで降りてくる）
「いやあ、会議が長引いちゃって」
「びっくりした……」
「ごめんごめん、お詫びに連れていきたいところがあるんだけど」
「ありがとう、でも気取ったところに行く服なんか持ってこなかったし……」
「大丈夫だよ。またキミの部屋とそっくりな一室をホテルに用意しておいたから」
「素敵……」
（いつもの家具調コタツを囲んで、ダイエットペプシでのりしおポテチをつまむ二人。窓の外にはキラウエア火山）
「なんか夢というか、夢と言うにはあまりに奇妙な……」
「ところで今日、日本は何曜日だっけ」
「土曜日……あーまたゾイド予約しそこねた！作画のいい回だったんだよな、ちくしょーっ」
「フフッ、本気でくやしいんだね？テレビのスイッチを入れてごらん」
「ったってこんな場所で……ええっ！」
「今夜だけTBSから回線を回してもらったよ。このあと『世界ふしぎ発見！』でも見ないか？板東英二のファンなんだ、僕」
「うおおすっげえ！アーバイン萌え〜っ！」
「やれやれ……ま、仕方ないか」
（そのころの「こんばん和田勉」）
「むひょーっ！たまらん太股ちゃーん！」
「わかったらこの書類にサインをおし！いいわね！」