大富豪同人物語：Web連載版

――とある週末の夜。ファミレス待ち合わせ中、ネームを切っているねじ子。そこへ豪太郎が……。
「ああウエイトレスさん、僕はモカ・マタリとマンダリンを……あ、ないの？じゃあブレンド」
「うわーんうわーん」
「どうしたんだい？そんな沈んだ顔をして」
「次の即売会でコスプレする羽目になっちゃったのよ〜しかもこの歳で舞よ舞！」
「（資料を見せられる）なるほどこれがKOFか……知り合いのサークルみんなでやるんだね？」
「そう。だからあたしだけ抜けるわけにいかないし……きっとイヤガラセなんだわ。休んじゃおうかしら」
「ちょっと連れていきたいところがあるんだ。明日、いいよね？」
「？」
（翌朝。青山のエステサロン「ゴージャス・アイリン」にて）
「これはこれは豪太郎様」
「こちらのご婦人に例のコースを。あと１週間しかないんだが、頼めるかな？」
「もちろんでございます。豪太郎様には先代の頃より……」
(六本木のフィットネスクラブ「フェノメノン」にて)
「これはこれは豪太郎様」
「こちらのご婦人に例のコースを。あと１週間しかないんだが、頼めるかな？」
「もちろんでございます。豪太郎様には先代の頃より……」
(神宮のモデルクラブ「ザ・ワールド」にて)
「これはこれは豪太郎様」
「こちらのご婦人に例のレッスンを。あと１週間しかないんだが、頼めるかな？」
「もちろんでございます。豪太郎様には先代の頃より……」
(赤坂のブティック「スタープラチナ」にて)
「これはこれは豪太郎様」
「こちらのご婦人に例の衣装を。あと１週間しかないんだが、頼めるかな？」
「もちろんでございます。豪太郎様には先代の頃より……」
(そして当日。更衣室に入るねじ子と、ウスラデブカジテツオババ同人軍団の一行)
「あれ〜ねじ子痩せたんじゃない〜気張ってダイエット？」
「舞なんか振っちゃって悪かったわね〜アテナのセーラー服がよかったかなガーハハハハ！」
「そうそうねじ子ってわりと着痩……」
(脱衣するねじ子を見て絶句する一行)
「なにしてるの？早く着替えよ？」
(開場と同時に場内にざわめきが走る)
(興奮するカメラ小僧が携帯に怒鳴りながら)
「なにしてるんだ、そんな先約はどうでもいい、こっちに来るんだ！こっちに……来ないと死ぬぞお前！」
(テレビクルーがねじ子を取り囲む)
「スミマセン、コチラヲ向イテクダサーイ」
「な、なぜ海外のテレビ局があたしを」
「いやあねじ子さん、伝えてなくて悪かった。CNNとBBCの東京支局に連絡してたんだ」
「豪太郎サンノ紹介ナラ無視デキマセーン。コノ映像ハ世界78カ国に中継サレマース」
「役者は揃った……僕もお披露目と行こうか。ハッ！」(ネクタイを引き抜き、一瞬でスーツ姿からリョウ・サカザキのコスプレになる)
「すごーい！」
「さすがアルマーニの胴着だなあ、もう体になじんでる。じゃあポーズを決めようか！」